2010年7月7日水曜日

子供の旅 ~北村勇作さんのエッセイ~



子供の旅
北野勇作

ずっと家にいられる仕事であり、
あまり売れてもいないのでさほど忙しくはない、という自分の状態の何がありがたいのかといえば、自分の子供をたっぷり察できることなのだ。
現在、私の娘は5歳だが、
赤ん坊が5歳の子供になるまでの過程というのはとにかくおもしろかった。
子供ができたときは、
自分の子供などというものをイメージすることすらできなかった。自分自身がまだ子供みたいな気でいるのに、でもさすがに子供ができるとなると無理やりにでも大人にならざるを得ないのだろうなあ、などと考えたりした。まあそれはそれで間違いではなかったのだが、それ以上に、子供が出るというのは、もういちど子供に戻るということでもあった。なにしろ自分のそんな頃のことなど覚えていないから、子供が初めて体験することは、子供にとって初めてであるのと同時に私にとっても初めてのことなのである。もう忘れてしまった自分の子供の頃を、大人の意識でもういちど体験すことになる。

移動する。
立ち上がる。
2足歩行をする。
言葉を発するようになる。
言葉と外界が結びついていく。
自分の中に言葉で世界が作られる。

そんな変化を目にするのは、じつに貴重な体験だったし、
それは今も続いてる。

子供にとって、世界は、
毎日のように新しいことや新しい概念が出現する不可解なものだろうし、新しい概念や単語を理解するたびに解像度を上げたり別の構造を見せたりする極めて動的なものに違いない。

これはもうほとんどSFの異世界であって、
読んだり映画で楽しんでいるぶんにはそういうのもいいが、しかし実際に自分がああいうところに放り込まれたらさぞかし大変だろうし、もしそんなことをもういちどやれと言われても、今の自分にとてもできるとは思えない。

ところが子供というのは、そういう大変な旅を毎日毎時間毎瞬間、
ずっと続けているわけで、私はそれを横で、ああ偉いなあ、しかしまあ自分にもそんな偉い時期があったはずだから、我ながらよくやったよなあ、と子供の頃の自分を誉めたりもするのだ。

以前なら、子供を主人公に、などと考えもしなかった私が、
いつのまにか子供の目でまわりを見たり、子供に感情移入していろんなことを考えたりするようになっている。

そんなわけだから、
ヘンテコな世界で目覚めた女の子がヘンテコな連中とヘンテコな世界を旅していく、この『どろんころんど』というヘンテコな小説を私書かせてくれたのは、たぶん娘なのだろうな。
ありがたいことだ。


          *****


yamaguchi-kunのtwitterではじめて知った福音館書店

0~3歳児向けの絵本の定期購読 というものがあったので
さっそく申し込んでみてから早3ヶ月
今は, 毎月送られてくる小さな絵本たちを
ふーこはカミカミかじって...&私は読んで楽しんでいるのでした


そんな福音館書店の今日のメールマガジンに
絵本作家の北村勇作さんがエッセイを書いていました

毎日の子育てに追われている自分に
ふ~~~~っと大きな深呼吸をくれた文章です

(ホントはいけないのだけど...!)
おもわずblogに載せてしまいました (><





※写真はどちらもFlickrからの引用です

こどもの世界って広くておおきくてスゴい!
さて, 大人はどうなんだろう??

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